今から4年前になるのだろうか…
付き合ってまだ1年ほどの恋人と共に、無謀にも2週間のイタリア旅行に出かける事となり…気がつけば関西在住の私たちは、成田からアリタリア航空に乗っていた。
食の都イタリアなのだから、どれだけ機内食も美味しいのかとワクワクしていた自分が悔しく感じるほどに…一つに固まってまるでラザニアになったようなトマトソースのマカロニと…パサパサのパンが出てきた…
おまけにお酒は、ワインと2種類のビールしかない…
航空事情に詳しい(というか世界事情に詳しい)恋人は仕方なくテーブルの上に並べた3杯の赤ワインを飲みながら「これだから何回も潰れちゃうんだよな」(ちなみにこの会社はついに、2021年10月に破綻し別会社の国営企業になった。)と苦笑いしていた。これから2食ほど…この機内食を食べなければならないと考えると少しブルーになる。元々私は機内食に甘い方で、多少は美味しくなくても「当たり前」と思って余裕で食べられる。でもアリタリアに関してはそれを遥かに超える…想像を絶する…はい、これ以上は言葉は控えさせていただきます…(正直、おむすびが一番美味しかったです)
私と恋人の良太はバツ1同士で、お互いが既に自分の生き方みたいなものを持っていた気がする。だからこそ、過度に相手に期待する事もなく、4年前のあの頃は18歳と22歳の息子がいる私と、子供がいない良太はそれぞれを尊重しながら過ごしていた。(驚くことに、今もまだあの頃と全く変わらず、恋人でいるけれど)
良太は私にはよくわからないけれど、スケールの大きな仕事をしていた。
だからこそ、世界を見たい感じていたいと常に思っているようだった。私は無条件に彼の揺るぎないセンスや考え方に共感したり、刺激を受けていた。
若い頃はバックパッカー、そして今はそこまで過酷な旅はしなくても、豪華な旅とは程遠い…現地に行けば現地の物価で生きていける人だ。
私は、彼とは全く違う畑の「占い師」と言う仕事で生きていた。31歳の離婚した時から、ずっと女性たちの悩みを聞いて生きてきていた。「占い師」と言う仕事を、怪しんだり、中には怖がったりする男性が多い中で良太だけは「プロフェッショナルな仕事だよ」と尊敬してくれた。そしてその尊敬は私の仕事を見るたびに増すばかりだ。ありがたい存在である。
私たちが目指す場所はまずはボローニャ。そのためにはまずはミラノのマルペンサ空港へと向かう。
「華菜ちゃん、もうすぐ到着だよ!ミラノが見えてきた!」爆睡している私を揺り起こした良太の顔は既に旅人の顔だった。
そして思っていたよりずっと暑い空港へ降り立って、ミラノ駅へ電車で向かったのだ。
続く
セレナ