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気が付けばインドにいた⑩

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平成から令和へ変わる日、私たちはインドの最終日だった。

豪華すぎるホテルのテレビで、そのニュースを見た。

あぁ、私は昭和、平成、令和と駆け抜けるのだ。そう思いながらテレビを見た。

そしてパートナーの体調はみるみる良くなっていき、「スパイス買いに行こう」と近所の市場のような…場所に行った。

少し薄暗く、あまり人もいなく、なんだか変な雰囲気だなぁと思った時である。

私は空を舞っていた!

一瞬の出来事だけれど、私の感覚ではとてもスローモーションに空を舞い、そしてお尻ごと着地してお店の前に置いてある小さな立て看板みたいなものに手を打ち更には擦りむいた。

どうやら私はみかんの皮を踏んだらしい。「痛い痛い痛い痛いイタタタ・・・」と泣いた。本当に痛すぎた。パートナーは「なんで手を繋いでいなかったんだろう」と後悔しまくっていたらしい。

でも座り込んでいるのも恥ずかしいのだ。ヨロヨロと起き上がり、仏頂面で「スパイス買うんでしょ!」と言っていた。(パートナーは何も悪くないのに、完全に八つ当たり・笑)

そして、目の前のあったスパイス屋さんに入った時、おじさん2人が消毒薬を持ってきた。すごく心配してくれていたのだ。私の手を一生懸命消毒して、そしておじさん2人が「ふーふー」ってしてくれる。優しくて泣けた。どの国へ行っても、愛に触れる。もう、スパイスはここで全部買う!

そして、少し元気になってホテルに戻った。

ここでもまた、ホテルマンたちが心底心配してくれるのだ。塗り薬とアイシングの氷を持ってきてくれた。

私はこの五つ星ホテルロビーでヘロヘロな顔でアイシングをした。

インド人の優しさは底抜けだ。色々な人がいる。ずる賢い人はわかりやすくずる賢いし、そして優しい人は底抜けに優しいのだ。もちろん、どこの国でもそうなのだけれど…インド人は特にわかりやすい気がする。

もうすぐ帰るんだ…

「まさに平成から令和へのスライディングだったね」とパートナーと笑った。

人生は面白い。

色々なことをパートナーと経験した。インドに行くとは夢にも思わなかった私に、ガンジス河を見せてくれたり、自分では絶対に歩かない場所を歩いたり(空に舞ったり)5年前のあの時、私は「この人と過ごす人生は面白そうだ」と思っていた。

結婚なんて考えてはいなかったけれど、今私は妻となっている。

そして5年経った今も、あの旅この旅と動き続けている。

あの頃と違うところは、私は物事に対して遠慮がなくなったことだ。おかしいと思うことは、おかしいと言うし、違和感のある事柄や人と付き合うこともないし、ただ自分の中のセンサーを信じて生きている。

一度きりの人生。

楽しく生き抜こう。

終わり

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