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私小説 パスタとハグといい加減(13)

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Cefaluからパレルモに戻り…暑さがほんの少し和らいでいたような感じがしたのは気のせいだろうか?

私たちはまず、暑さが少し落ち着くまでアパルトマンでのんびりしようと思った。そして、アパルトマンに行くと珍しくオーナーのルイージがいた。いや、フロントに「珍しくいる」ということ自体が変ではあるけれど…(鍵だけ渡してくれて自由に使って!的なアパルトマンの場合、そもそもフロントはなかったりする)ルイージの経営しているアパルトマンは、もう少し「ホテル的」な感じなのだ。

でもそのルイージの性格そのものの緩い感じがなんとも居心地がいいのだけれど、偶然出くわすと、無邪気な子供のように大喜びでハグしてくる。「親友でした?」と思ってしまうほどのはしゃぎっぷりだ…^^;

そして「会いたかったんだよ!どこに行っていたんだ!」みたいなことを言うけれど、それは私たちの台詞である。いつもどこに行っているんだよ(笑)

そしてルイージの執拗な「構ってくれ攻撃」を受け流しながら部屋に戻った。いい人なんだけどなぁ…(笑)会ったら「構ってくれ」だし、でも大抵はいないし…小悪魔か!!!(笑)

ゆっくりとして、そしてディナーを食べに行く。

実はこの日はパレルモ最後の夜だ…

もちろん次の日は散々堪能して、夕方の飛行機でローマへと向かうのだから20時間はしっかりあるのだけれど、私はこのパレルモの南独特のあっけらかんとした雰囲気がすごく癒された。

教会横のトラットリアでディナーを食べた。

段々と日が落ち、パレルモが夜の顔になっていく時は、なんて美しいのだろうと思う。

このオレンジ色…

私たちは、いつになくいろいろなお喋りをし、そしてゆっくりと食べた。

ヨーロッパの人は「談義好き」なのか、とにかくゆっくり食事をする。私たちは、どうしても「食べることに集中」してしまうけれど…(笑)この日の夜は、この街全部を味わっていた。

夜になった途端、街は私たちに違う顔を見せてくれる。

私は夜の散歩が大好きになっていた。何を食べても美味しいのは、海風や新鮮な魚介類や天才的なパスタ料理だからだろう。

私は北海道で生まれ育ったから、もちろん魚介類の美味しさは小さい頃からきっとかなり高いレベルのものを食べていたと思う。それに比べると、少しぼんやりとした味だし…でも、素材そのものを味わうわけではなく、ガーリックやオリーブオイルを使った魚介もまた格別なものだった。

日本とは種類が違うのだ。

コロナが世界を襲い2年以上…この密を見ると懐かしくて涙が出そうになる。当たり前じゃなかったんだ。奇跡みたいなことだったんだ。人は失って気がつく愚か者だ。だから、コロナと共生するのか収束するのかわからないけれど…またこの日が来たら、私は泣きながらここに座るだろう。

こんな教会を見ながらディナーを食べていたなんて…

それが私は永遠に続くと思っていたなんて…

健康と世界の平和と、自分達のお金持ちじゃなくてもいいから普通に飛行機代が出せるくらいの収入と、そんな全てがあるなんてすごいことなんだ。

それでも私たちは、まだまだ世界を諦めてなんていない。

世界にはまだ知らない美しいものがいっぱいあるし、人々は素晴らしいし、でも人は完璧じゃないから沢山誤った選択をしてしまうけれど、それでも…信じていたい。人は平和を選択できると…

食べ終わって、2人でのんびり散歩をした。

「華菜ちゃん、ここであの有名なゴッド・ファーザーが死んだんだよ!名シーンの場所だよ!」と良太が教えてくれた。

残念ながら、マフィア系映画は全くもって観たことがないけれど(笑)もちろん、すごい映画だと言うことは知っている。

そんな、何気ない会話をしながら…アパルトマンに帰った。ルイージは寝てしまったのかもういなかった…(笑)

続く

セレナ

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※私は戦争は反対です。どうして何度も何度も愚かなことを人間は繰り返すのでしょう…私は、何もできないけれど、ここで言わせてください。世界は美しい。お願い壊さないで!!

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