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私小説 春節・赤いとき 寒さを超えるアジア情熱の国⑷

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午後になって、何となく街をぶらぶらと歩く。

都会と言うのは、歩いているだけで目からの刺激が多く…特に上海の春節は「赤・赤・赤」で目がちかちかしそうだった。

それでも、なんだか街全体が浮足立っているし、おしゃれなお店も本当に多い。

で…ここからは私の率直な感想なので中国を批判しているわけではない。

ファッションが…昭和な感じなのだ…

特に子供たちは私が小さい頃に着ていたような繋ぎの雪用ジャンパー(北海道ではアノラックと言う。なんだろうね、このネーミング)を着て耳まで垂れ下がった毛糸の帽子をかぶっている。

「なんだか懐かしい感じがするんだけど…」と呟くと良太も

「いや、本当にそうだよね!」と。

私だけが思っている感想ではなかった。こんなに大都会なのに、そのアンバランスさが何とも言えず不思議な感じがするのだ。

そして、またしても良太は

「夕飯は上海蟹を食べたい!絶対!」と意気揚々。

そうね…(笑)

彼は本当にグルメだ。高いだけでも駄目だし、算命学的に言うと「絶対味覚」という物を持っている人らしいけれど本当にそういう場面を何度も見ている。

ホテルのラウンジのお姉さんに美味しい上海蟹のお店を聞いて、タクシーで向かう。

なかなか高級だ。

春節のせいなのか?

いつもやっているのか?

3人のかつてお姉さまだった方たちの、中国民謡みたいなものを聴きながら…(ものすごくやる気がなさそうな感じが面白かった)

美味しすぎる上海蟹を食べる。味噌が美味しいったらない。奥深くじんわり脳天に響くその味。

私と良太の悪い癖は、美味しいものを前にすると「無言」で喰らい付くところ。私たちは禅僧なのか?話してはいけないのか?(笑)と言うほど、夢中で食べる。

だから、ゆっくりと食べる人と食事を共にするとき、自分のスピード感に自分で驚いてしまう(笑)できれば集中力を他で発揮したい…

そして…食べ終わり…夜の散歩をした。

これが…本当に美しかった。

ある意味、都市という物に関して造詣のある良太が感動するほどだった。

「ちゃんと美しいんだよ。」と言っていた言葉の奥を私は噛み締めていた。

そしてゆっくりとホテルへと向かう。

またしても彼は…ワインを飲もうとしている^^

続く

セレナ

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