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私小説 パスタとハグといい加減②

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ミラノマルペンサ空港に到着してから…まず感じたことは「なんだか思ったより暑いなぁ」と言うこと。

そう、後々この暑さが増しに増して私を泣かせることになるのだけれど…

渡されるままに水を飲む私、飛行機の中でもそうだけれど水分を多めにとっておかないと命取りになることが多い。エコノミー症候群も、水分を多すぎるほどとっておくとなりにくい。(浮腫むけどね)

まるで、いつも使っているかのようにミラノ駅行きの電車に乗り込む良太。

彼にとってはもう数回目のミラノだ。そしてさらに、外国という線引きが私よりもずっとない人だから、緊張したり恐怖もない。ただ、もちろん日本と違う治安などはわかっているから、いくら先進国と言っても気を抜くことはない。

そしてあっという間に到着したミラノ駅。

「嘘でしょ…これが駅なんて!!!」

私は恐らく、普通並には海外に行っている人間だと思っていた。でも、思い出してみれば…空港までお出迎えがあったり、ツアーバスに乗ったり…そうじゃなくてもすぐにタクシーに乗ってしまっていた。わざわざ駅で切符を購入して旅をするなんて、語学の苦手な私は到底無理だと思っていたし、最初から諦めていたのだ。

これって…この駅って…駅だけのための建物なの?

歴史を感じるだけではなく、窓から入って来る採光、絵になる階段、そこにいるおしゃれな人々、バルやカフェの数々。もう、ここで数日過ごせるじゃない!

そう思ったのも束の間、良太が悲しげな顔で

「あー、華菜ちゃんごめん!フレッチャ取れなかった…ローカルの急行列車になっちゃったよ…」

申し訳なさそうだけれど、私にとってこの素晴らしいロケーションをゆっくりと眺めながらの列車の旅も素晴らしいものに感じてならなかった。フレッチャとは、時速300キロも出る日本で言うところの新幹線みたいなものらしいけれど、それには早く着くという利点があり、ローカル急行にはのんびりと景色を楽しむという利点がある。

急ぐ旅ではない…しかも悪気があっての失敗ではないのだから…

そして…最初の小さなハプニングもあった。

列車40分出発遅延…笑

日本は40分遅延したらTwitterで大騒ぎだろう。私たちはミラノ駅で夕食を食べのんびりと待っていた。

そしてローカル列車に乗った途端、私の心は舞い踊ったのだ。

「あ、憧れのお部屋になっている列車だ!!!」

私は嬉しさのあまり、終始笑顔だった。3時間のミラノからボローニャの列車旅。

途中、プーリア地方の自宅へと向かう日本のアニメ大好き青年と会い、ドラゴンボールの話をしたり…

少し眠ってしまったりで、気がつけばボローニャに到着だ。

夜に到着だから暗くてよくわからなかったけれど、とにかく街灯がオレンジ色で温かみあった…

夜の9時、地図を見ながらホテルへ向かう良太を見て改めて、この人は生きる力のある人だと思っていた。

そして、到着したホテルは小さくて、親切で、シンプルで、可愛くて…

そんな私の小さい頃の夢が詰まったようなプチホテルだった。電気ポットがなくて、部屋でお茶をのみたいのだけどと小さなフロントの紳士に聞くと、「ポットはないんだけど、ちょっと待ってね」と言って奥に消えたあと、可愛らしいティーポットにお湯を入れ、カップをトレイに載せて現れた。

何もかもが部屋に置いてあるホテルに慣れすぎている私たちだけれど、こんな風に嫌な顔ひとつせず、しかも堅苦しくなく陽気にお湯をくれるボローニャ紳士を私はすぐに大好きになった。

まぁ…その後、そんな陽気さにズッコケる事も多々あるのだけれど…

その日は疲れて、倒れるようにベッドの中に沈み泥のような眠りについた。

寝心地も最高。それよりもフラットな場所で眠るって素晴らしい…笑

エコノミーでの移動12時間、電車でトータル4時間座っているとそう思うのだ…

続く

セレナ

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