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私小説 パスタとハグといい加減③

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時差ボケだったのか…やけに早く目覚めてしまった。

良太を起こさないように、カーテンをそっとめくって外を見る。

「あ…」

あまりの美しさに、良太を起こさずにはいられなかった。

「ねぇ、起きて!!!本当にすごいの!!!信じられない!!!!!!」

良太の唯一の欠点と言ってもいいだろう。彼はものすごく寝起きが悪い。

仏頂面でひどく迷惑そうだった。それでも私の興奮っぷりにゆっくりと目覚めた。

あの頃の彼は、普通の煙草を吸っていたので(今は電子へと変わったので、匂いは全くなくなった)ベランダのある部屋を用意してもらっていたのだ。

彼は煙草を持って、ベランダへと向かった。

「この国の色は土の色なんだな。そしてその国の土の色に抗おうとしないから美しいんだよ!」

きちんと専門的に分析していたけれど、彼も相当興奮しているのがわかった。

彼は、美しくないものを見ると心底ガッカリした顔をするから…(ただし、とても不思議なのだけれど…例えばインドのスラムや、アフリカの雑多な感じ、ベトナムのお風呂の椅子のようなものが歩道にあっても、特にそこにはガッカリすることはない。そこには深い歴史や社会的背景、人々の文化があるから納得しているのだ。)

私は彼の、明確な「美しいもの」「そうではないもの」を感覚的に理解ができるので、その部分では気が合っていると思う。

私はひどくお腹が空いていた。

このプチホテルは朝食付きをお願いしていたから

「もう限界、お腹が空いた。飛行機や電車や時差ボケなんかでよくわからないけど…でもお腹に何か入れたい!」

それには良太も同意だったらしく(2人の腹時計はいつも似ている)2人で適当に用意して食堂へ向かった。

そして、食堂に着いた途端…夢のような可愛さに「ひゃー」と言う変な声が出てしまった。

豪華なホテルは何度も行った。食べきれないようなビュッフェのホテルも沢山あった。

でも、そういうホテルとは真逆の「愛のある可愛いビュッフェ」が並んでいたのだ。

私の心は「憧れのヨーロッパ」をただただ感じていた。5つ星ホテルでもない。フロントも小さくてエレベーターもなくて…でも、私はこう言う世界が大好きなんだ。

そうはっきりと認識した。

でも…ひとつイタリアで大きな自分の欠点を知ることとなった。

「この国のコーヒーを飲むと具合が悪くなる」…

すごく美味しい!すごく美味しいのに、しばらく経つと強いカフェインのせいで急に頭がクラクラしだすのだ。

途中から良太も

「美味しいからって調子に乗って朝から2杯飲んだら胃をやられるなぁ」と。

恐らく焙煎の問題だろう。でも、飲まなきゃいい。それで解決した。

私はそれがわかってから、オレンジジュースか紅茶を飲むこととした。

そしてもうひとつ、見るからに美味しそうなスイーツのようなパン…これはもう強烈に激烈に甘い。

発展途上国のスイーツの甘さとは質が違うのだけれど(あれは脳天貫くから)、初日に浮かれて色々食べてみて、学習した。調子に乗って、お皿に乗せると大変なことになる…笑

存分に食べ、いよいよボローニャ観光の開始だ!

この時私は…ヨーロッパが熱波に襲われていると知る由もなく…

超ご機嫌に出かけたのだ。

続く

セレナ

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