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私小説 パスタとハグといい加減⑩

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灼熱の中…それでも街全体が陽気さを外側に出しているから、私たちは軽快に歩いていた。

突き出るバルコニー、そこに置かれた緑の植栽や様々な物たち。私にはこの街の街並みが、ボローニャと較べてリズミカルで陽気なものに思えた。

目的などあまりなかった。

ただ何となく、あてどなく歩く…これこそが散歩という歩き方だ。日差しも街も至る所が全て、度を超すくらい明るくて、歩いている人たちの服装も年齢などただの飾りなのだと思わせられるように、ショートパンツにタンクトップのおばあちゃんがいたり、ショートパンツにジャケットのいかにも「ちょい悪親父」がいたり…(笑)

「やっぱりイタリアの男は足首出すんだねぇ」とか「日本でも、まだたまに見かけるよね」とか、そんなしょうもない話をして歩いていた。

私にとってアンクルパンツは難易度が高い。一歩間違えると日本人は「バブル時代の男性」に見えてしまう。(石田純一を思い出してしまう)

でも、さすがイタリア人…ハットまで被られると拍手だ。オシャレとは自信なのだ、堂々と着ることなのだと思えてしまう。(日本人は気を付けよう、昔バブルで遊んでいた金持ちのおじさんに見える)

そんな色気のある「ちょい悪親父。ちょい悪おじいちゃん。」を見ながらの散歩。

歩く先々にキリがないほどの教会もあり、教会が大好きな私も流石にちょっと見ることを飛ばしたりした。

そして、上手に暑すぎるときは「休憩所」として使わせてもらった。静かで、ひんやりとしていて…この空間はやはり特別なのだ。

私にとっては、パワースポットなのだ。

女性たちのオシャレも流石としか言いようがなかった。私はイタリアにいる時は、長い髪を下すことをやめて、思い切り無造作に結んだ。

そして出来るだけシンプルを心掛けた。イタリアの女性たちは体のラインなんて気にせず、お腹が少しくらい出ていても、堂々とセクシーなワンピースを着ている。私はそんな女性たちに触発された。やはり、自信だ。自分を愛する力だ!

自分の全てを曝け出し堂々とした自信がどれだけカッコいいかを思い知らされた。

スキニーにタンクトップは細い人の特権なのかと思っていたけれど、そんな事はなかった。どんな体系の人でも着たい人は着たらいいし、そしてそれを男性たちは賛辞する。カッコいいと思った。彼らは、彼女たちは自分を愛しているのだ。だから、他者を褒めることができるのだ。

私は寝間着に持ってきていたユニクロの黒のタンクトップワンピースを日常着にすることにした。

必死に真似していた。刺繡の付いたブラウスも嫌になっていたし、ずっとキッズではいたくはない…

そんな事を思いながら歩き、そしていつもの如くお昼にはしっかりお腹が空く。

適当なトラットリアに入った。それこそ、本当に適当に「ここにしよう!」と通りがかりに入ったのだ。

そしてパレルモの名物と言っていいだろう、「イワシのパスタ」と「ペスカトーレ」を頼んだ。

ふと…キッチンから物凄い大声の夫婦喧嘩が聞こえる。怒鳴っているのは奥さんだ。初老の二人だったけれど、もうもうそれはすごい剣幕で、私たちは少し心配になるほどだった。

でも…近所のみんなは「いつものこと」のような顔をしている。気にも留めていない。「え?これって日常の出来事?」

そんな事を考えていると、喧嘩していた夫婦の旦那様が料理を持ってきた。別に普通の顔をしている。ばつの悪そうな顔もしていない…

そしてそのパスタの味は…悶絶の美味さ…海そのものを味わっているかのようなの旨味である

ガーリックとトマト、松の実とレーズン。それらがベースとなって地中海の旨味を全面的を引き出しているのだ。

未だここを超えるペスカトーレにもイワシのパスタにも出会っていない。

あの大喧嘩を繰り広げながら仕上げたこのクォリティー。拍手しかない。

私たちは、絶対にまた行くだろう。だからどうか、コロナに負けないでいてほしい。元気でいてほしいと願う。愛のある夫婦喧嘩、あそこまでみんなの前で夫を罵倒する情熱的なイタリアのマンマ。カッコいいじゃないか!そして、その罵倒を気にも留めずに絶品パスタを作る旦那様、お互いの愛を感じた。

私にはイタリア語はわからないから、もちろんどんな喧嘩なのかはわからない。

でも冷え切った関係よりも、言いたいことを全部吐き出して心の中に黒いものが何もない…そんな夫婦も、それが二人の形ならありなのかもしれない。

二人の形は二人にしかわからないのだ。

そんな二人が作り出す美味しいパスタを食べ、また再び歩き出した。

続く

セレナ

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