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私小説 パスタとハグといい加減(17)

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旧市街を歩いてナヴォーナ広場へ行った。

ヨーロッパは街中に、みんなが憩える広場が多く、ここもまた壮大な広さで…そして広いのに少しもわざとらしさや嫌味もなくそこにあった。

真ん中に大きな噴水があり、そしてそこを囲むようにカフェがある。

噴水のあたりで遊ぶ家族連れ、カフェでデートを楽しむカップル、友人たち、それぞれが当たり前のようにその広場と共存する。

パリの公園もそうだけれど、本来広場や公園は子供だけのものではなく、大人が読書をする場所であったり、考え事をする場所であったりしてもいいのだ。日本には、そういう場所が少なすぎるし、あってもなんだか私の心を打つ場所はほとんどない。

敢えて言うならば、川沿いの公園などは一番自然に近いのだろうか?

日本も作り込みすぎない…そんな公園をたくさん作ってほしいと思う。緑多いところに人は集うものだ。

良太の趣味というべきか…ライフスタイルの一つにカメラがある。これはもう、旅の中の彼の体の一部で、私は彼が一眼レフを持つ姿そのものが大好きだ。

だから…願わくばどれだけIPhoneにすごい技術が入っていても、あの重い一眼レフを構えていてもらいたい。彼がミーハーに、新しい携帯に飛びつくようなそんな男であってほしくはないのだ。(私はほしいけど…笑)彼は、物を極限まで使い切るところが彼なのだから…

だかしかし…そんな彼だからこそのハプニングが起きてしまった。

私を噴水の所に座らせて「ちょっと色々なところの写真を撮ってくるからここに座っててね^^」と言っていなくなってしまった。

私は最初こそ、この広場を楽しみ、噴水を眺めたり人間観察をしたりしていたけれど…なかなか帰ってこない。そう、彼はカメラを持つと時間を忘れる癖がある。(彼はそんなことはないといつも言い張るのだが…(笑))

私は段々と不安になってきた。美しい建築物で見事に閉じられたこの広場は、風も吹かず鍋底のように暑いし、イタリア語なんてまるでわからない。英語だって得意ではない。一人ぼっちでこの広場にいることがものすごく怖くなってきた。このままはぐれてしまったら…そう思いだすとパニック障害のように頭の中が真っ白になりそうになる…。過去、そういう経験をしたことがある私は、その時の感覚を思い出し、涙が出そうになっていた。

その時である。「華菜ちゃん、お待たせー」と良太が呑気に帰ってきた。本当にかなりの能天気ぶりで…

その瞬間私は「もうタクシーで帰る。ホテルに帰る。もういやなの!そしてホテルから一歩も出ない!」と言い放った。

良太は「でも、バスチケットあるよ」と言いながらも、私の様子を察知し「よし!じゃあタクシーに乗ろう」といって広場を出るや否やタクシーを捕まえホテルに向かった。

タクシーの中で私は一言も口を聞かなかった。

そしてホテルに到着してベッドに横になり…なぜか爆睡した。疲れたのだ。長い長いイタリアの旅…大都会ローマ。暑さ。一人になったこと。疲れたのだ。

屍のように寝る華奈(笑)

目が覚めたら良太が冷たい炭酸飲料を私に飲ませ、そしてポテトチップスを食べさせ、優しく言った。

「涼しくなったらディナーに行こう。そしてスペイン広場とトレビの泉は明日の早朝の涼しい時に行こうね^^」と。

私はコクリと頷いた。

彼は、まるで猛獣使いであるかのように言うべきタイミングを心得ていた。

続く

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