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私小説 パスタとハグといい加減(15)

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ローマに到着して、まず私が感じたのは「都会だ!」ということだった。今まで歩いていた、ボローニャやパレルモに比べ、人々の笑顔は少なく、そして気のせいか歩く速度も早い気がした。

体感的に…私はここはあまり好きじゃないな…そう感じた。

人間とは勝手なもので…自分は都会に住むことを好むくせに…旅では少しの長閑さを、少しの田舎っぽさを、求めてしまうなんて…

ひとまずもう夕方だ。私たちは足早にホテルへと向かった。

地図を片手に歩ける良太は、もう何度もローマに来ているのだ。私は実は、到着した時からちょっとローマそのもののエネルギーみたいなものが苦手で…それはもう、うまく言えないのだけれど…早くホテルに行きたかった。イタリアとはなんと広いのだろう!こんな大都会もあれば、今まで歩いてきたようなプリミティブな場所もある。

ホテルに到着した。

良太のクレジットカードの提携ホテルへと向かった。このクレジットカードと提携しているホテルは、ほぼほぼアップグレードされる。でも…

この絵画のセンス…うーん…

これはアップグレード???しかも、Wi-Fiが繋がりにくいのだ。これは困った。良太がフロントに言いに行った。

すると…

「そんなことはないよ!Wi-Fiはちゃんと繋がるよ!」と言い張るのだ。

でも実際に本当に繋がりにくい…もう一度、フロントに言いに行った。

すると…驚くべき言葉が返ってきた。

「Wi-Fiくらい繋がらなくても問題ないよ!人生をもっと楽しんで!」と…

え?私たちは一瞬、本気でたじろいだ…

なんていうことだろう…大都会ローマのホテルで!!!でも、確かに彼の言っていることも真実ではある。私たちは数年前まではwi-fiなんてなくても快適で生きていたはずなのだ。でも、今はやはり「Wi-Fiありき」で過ごしている。海外で仕事をするには必須だし、ホテル取るにも飛行機にチェックインするにも、兎にも角にもWi-Fiがなくては始まらない。(もっぱら良太のお役目なのだが(笑))

行き場のない気持ちのまま

「華菜ちゃん、仕方がないよ…とりあえずご飯を食べに行こう…このホテルは一泊だし」

そして夜のローマへと繰り出した。歩いているとオレンジ色レストランが見えた。

とても可愛いし、何よりお腹も空いていたので早速食べることにした。

「わぁ、カルボナーラがある!」なぜか、ボローニャもパレルモもカルボナーラはなかったのだ。(いや、実際はあったのかもしれないのだけれど…見つけられなかった)

良太はチキンの香草焼き、私はカルボナーラを食べた。

これが本場のカルボナーラか!!!という驚きだった。しつこさが全然ない!今まで食べたカルボナーラの中で、ダントツ1位の美味しさだ。(後から聞くと本場ローマのカルボラーナは生クリームを使わないらしい(^ ^) もちろん生ハムメロンもさっぱりしており、チキンもしつこくなくジューシーでとても良いお味!

ただし量の多さも尋常じゃなかった。少し残して帰ることにした。その時である…事件が起きた…

「良太…私のカバンがない!!!」

良太はハッとして

「やられた…僕がいながらなんてことだ。ここはローマだった…。華菜ちゃん、ここはスリが本当に多いんだ。もうそのカバンは帰ってこない…」

「うそー…。でも逆に盗んだ人が可哀想よ…私のカバンの中、パスポートもお財布も入っていないの。携帯電話はテーブルの上に置いておいたからここにあるし。伊勢神宮のお守りとちょっと高価なストールが入っているけれど、ストールは帰ってから保険で戻ってくるだろうし、ただね…メガネがないのが困ったわぁ」

帰り道、良太は状況をつぶさに思い出し、結局は私の後ろを通り抜けた花売りの仕業ではないかと推察していた。そしてひどく責任を感じて

「明日、必要なものは全部買ってあげるからね。僕としたことが…ぼんやりして…」といった。

お金を払い、私は持つべきものが何もなくなり本当の手ぶらで帰った。なんとなく誰かに教えたくて…近くのカフェに入って、深夜の日本に電話した。息子がでた。寝ていたようだ。

「ねぇ、今ローマなんだけど、スリにあっちゃったの!でも大丈夫、特に困るものは入っていなかったから。」

それだけ言って、なんだか気持ちが興奮して電話を切った。良太は相変わらず落ち込んでいる。

そもそも、日本でもないのに日本のように鞄を椅子にかけていた私が悪いのだ。ここは都会。ローマだ。

この席の背もたれに引っ掛けていた。なんたる不用心!

そして…ホテルに戻るとWi-Fiのお詫びなのか?ワインが一本置いてあった。

今までのんびりしていたから、日本と同じようについつい過ごしてしまったけれど改めてしっかりとした。

嬉しかったのは…数日ぶりにバスタブがあったこと…私はバスタブを見るたびに思う。私は日本人なのだと…

湯船に体を沈め、そして案外ぐっすりと眠りに落ちた。不自由なことはメガネがないから小さな字が読みにくいことだった。

明日はまず、かばんや眼鏡やいろいろを買いに行って…そしてローマ観光をすることになった。

続く

セレナ

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