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私小説 パスタとハグといい加減(14)

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45歳になって、歩くのが嫌で本気で泣くことになるとは思いもしなかった…

でも実際に私は、パレルモ最終日…大粒の涙をボロボロ流したのだ…「もうこれ以上、歩けない」と訴えながら…(笑)

この日も出だしは順調だった。オペラ座のガイドツアーに朝から参加し、素晴らしい世界観に酔いしれていた。

運のいいことに、子どもオーケストラ練習風景も見ることが出来て、どんな風に音が広がっていくかを聴くことができたのだった。

貴賓席にも座ることができ…本来ならば富豪にしか座ることができないであろう場所にゆったりと座った。

芸術とは…音楽を聴くだけではなく…建物全てにおいて訴えてくれるもの。それがオペラ座だった。
天井画の美しさ…

イタリア最大のオペラ座マッシモ劇場に、私たちは大興奮だった。

そして、観終わってからイタリアのかき氷と言ってもいいだろうグラニータを食べた。私たちはイタリアにいる間にジェラートとグラニータを何回食べたかわからない…笑

いつも通り、いやいつも以上に暑かったパレルモ…なのになぜかやる気に満ち溢れている良太は「元モスクだったサン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会に行こう!歩いてすぐだから!」と張り切っていた。

私は、「すぐだったらいいや^^」と思って一緒に歩いた。最初は「暑いねぇ」と笑いながら、楽しくおしゃべりしながら歩いていたのだけれど…歩いても歩いても到着しない。

途中いかにもシチリアらしい路傍の市を通り抜け、「ねぇ、あとどのくらい?」「うーん、あと10分くらいだよ!」私の心の中は「えー、まだ10分も歩くのかぁ」と思っていた。

路地を歩き、そして、10分歩いてもまだ着かない。

「ねぇ、10分くらい歩いたと思うんだけど…あとどのくらい?」「うーん、あと10分以内には絶対に着くよ」

それでもまだ灼熱の広大な広場を歩かされると、もう私は話す元気すら無くなっていた。身体中のパワーが全て奪われ、気力がないのだ。もう一度、聞いた。

「ねぇ、あとどのくらい?」その時の私はもう泣く寸前だった。良太は「うーん、思ったより遠いんだよね…。もう少し…」と言って私を見た時、私は大粒の涙をボロボロこぼしながら「もう歩けないよ。もう本当に無理だよ!えーん」本当に「えーん」と言う感じで泣いていた。

ようやく目的の教会にはついたものの、良太は本当に大慌てだった。後で聞くと「しまった、限界を越えてしまったんだ」と思ったらしい。大慌てでベンチに私を座らせて、そして甘くて冷たい飲み物を買ってきた。そう、私は冷たいものが飲みたかった。手に持っているぬるいポカリスエットなんて私には、気持ち悪いだけだった。

そして

「とにかく、ここに座っているんだよ。」と言い、良太は走った。

そして彼が連れてきたのは、オートリクシャーだった。

「もう、歩かなくていいよ!華菜ちゃん、ごめんね」と謝っていた。

私たちは、まだ付き合って1年経っていない頃だった。私はきっとまだ彼に遠慮があって、泣くまで我慢したのだろうし、でもこれを機に私たちの心の距離はまた縮まった気がする。

彼はリクシャーに乗って、すぐに笑顔になった私に心底ホッとしていたし、私たちはまたパレルモの街中へ戻ってランチを食べることにした。

私はあまりに元気がなかったから、初日に来た教会前の広場にあったレストランでカツレツを、彼はピスタチオのパスタを食べた。

これがまた、涙が出るほど美味しくて…疲れた体に浸透し…特に彼はピスタチオをパスタにするというその初めての味に衝撃を覚えていた。(さっきまで私の泣き顔を目の当たりにして大慌てだったのにね(笑))

旅とは不思議なものである。自分の素を見せるしかないこともある。でもその時に、その人の器の大きさを知ることができたりする。優しさに触れることができる。

彼は、何度も謝っていた。(後に笑い話として語り継がれているけれど)

私は、この人の前では「泣いていいんだ」と思えた。全部自分で頑張ってきた人生に、泣いたら助けてくれる人がいるのだと思った。

4年経った今も、私は変わらずに彼に甘えっぱなしで生きている。

涙を見せたパレルモ。そして自分達が、それによってより仲良くなれたパレルモ。

その日の夕刻、マシンガントークの恐妻家ルイージのガンダム話に耳を傾けたのち別れを告げ空港に向かった。相変わらずのハグ…でも、頻繁に会っているはずのイケメンタクシードライバーにも、同じ熱量のハグ^^;そんなルイージがとても好きだよ、また、絶対来るからね!そして…相変わらずスピード狂のタクシードライバー…うん、色々すごいパレルモ…また帰って来たい街になった。

パレルモの空港にはピアノがある。下手な人、上手い人、どんな人もただ弾きたい人が自由に弾く。素晴らしい時は、みんな拍手喝采。

もしも私にピアノが弾けたなら… 音色に旅情をかき立てられた

かくして私たちのパレルモの旅は終わり…ローマへと向かっていったのだ。

もちろん、ローマに到着した時はファンファーレが鳴り機長の「定刻通り着いてやったぜ!」というドヤったアナウンスが聞こえまたまた拍手喝采があった。

あぁ、愛すべきイタリア人。君たちには、定刻通りが特別なことなんだね…(苦笑)

続く

セレナ

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※昨夜、私はウクライナのことで涙を流していました。すると、その横でパートナーが「募金終わったよ」と言っていました。彼も少し、辛そうな顔をしていました。私たちができることはあります。何もできない人はいないです。ユニセフでも募っていますがパートナーはUNHCRに寄付していました。

出来ることを探しましょう!

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